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6.「こいくち」と「うすくち」の違い

「こいくち醤油」と「うすくち醤油」について、ご家庭に両方備えていらっしゃる方も多いでしょう。
料理本などで「醤油 大さじ2杯」などと特筆なく記載してある場合は、「こいくち」で書かれている場合がほとんどです。

私も、メインでよく使用するのはこいくち、白身魚の煮物など料理に色をつけたくない場合はうすくち、という感じで使い分けています。
こだわりの強い方のレシピなどでは、両方合わせ使いをしている場合も見られますね。

なんとなくで使い分けることも多いこの2つ、正確にはどこが違うのでしょうか?

簡単に言うと、「うすくち」のほうが色と香りが控えめで、塩分は多めです。

その製造過程を比べると、「こいくち」をベースにした時に、「うすくち」は原料の麦の入り方が浅く、仕込み時の麹の量も少なめです。
色と香りは発酵の度合いで決まるので、この発酵が進みすぎないように調整して、色や香りが強く出過ぎないところで次の過程に移るようにします。

原料で比べると、「うすくち」は大豆や麦のほか、米等の穀類若しくは小麦グルテンが加えられることがあります。
また、圧搾前に甘酒が添加されることもあります。
その他、投下する塩水の比率も高くしてあるため、塩分濃度が約2度高くなります。

「うすくち」のほうが塩味が強く設定されているのは2つ理由があるといわれており、1つには醤油メーカーが「うすくち」=「うす味」と思われるのを避けたかったため。
もう1つには、製造過程で窒素分がこいくちより少なくなるので、その分の殺菌力を補完したかったためといわれています。

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なぜこのような違いが生まれたのでしょうか。

うどんの出汁の違いでご存じの方も多いように、関西の料理は昆布で出汁をとりますので、その色や香りを残すことが大事です。

しかし、どうしても味や香りの強い「こいくち」醤油には負けがちです。
そこで、昆布の色や香りが消えないように、醤油の色や味が出過ぎない「うすくち」が好んで使われることになったといわれています。

17世紀半ばに生まれ、18世紀ごろから関西地方に広がった「うすくち」は、京料理などにはもはや欠かせない調味料となっています。

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