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醤油の地域性

料理の地域性などは、よく遠方から嫁いできたり、赴任してきた人などから聞くことがありますが、同じように醤油にも地域性があります。特に醤油は和食には欠かせない、家庭では毎日のように使われる調味料ですから、自分の口に合う醤油を選べるかどうかは重要なポイントです。

東北を含む東日本では、使われるのはほぼこいくち醤油です。そのため自然とこいくち醤油の品質に対する市民の見極めも厳しく、結果、澄んだ色と芳しい香り、旨味の強い濃口醤油が発達しました。蕎麦やすき焼き、鍋物にと多用されますが、特にてんぷらのつけつゆや、鰻の蒲焼などは東日本を中心に確立されてきたと言われます。

地域によっては秋田のしょっつる、伊豆諸島のくさや汁のように魚醤(ぎょしょう、魚から作る醤油)の文化も残っています。今でもそうですが、東京は昔から全国の人が集まるため、色々な味覚にあわせてそれぞれの料理店が発達し、うすくちしょうゆを使うお店も多々あります。

近畿地方は、和歌山県という醤油自体の発祥地もあり、兵庫県といううすくち醤油発祥の地もあります。そのため、豊富な種類の醤油が身近にあったため、調理にも「合わせ使い」する文化が強い傾向にあります。

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例えば、煮物やお吸い物には色がつきにくく出汁の香りを邪魔しないうすくち醤油か白醤油、刺身や豆腐にはこいくち醤油か甘味のある溜まり醤油を使うという家庭も多いのです。ちなみに、うすくち醤油で有名なヒガシマル醤油(兵庫県)の売上高が大きいのも、このうすくち需要をとらえているからなのですね。

ちなみに、ヤマサ醤油(千葉県)の創業者・濱口儀兵衛は和歌山県有田郡広川町の出身で、幼い頃から醤油醸造の盛んな街で生まれ育った方でした。また関東で最古の醤油醸造元といわれるヒゲタ醤油は、摂津の酒造家・真宜九郎右衛門が、銚子の豪農・田中玄蕃に醤油の醸造の仕方を伝えたのが始まりと言われています。このように、近畿地方は名実ともに醤油発祥の地なのです。

その他、東海地方のたまり醤油、九州地方のさしみ醤油のように、地方独特に発達した醤油が多数ありますので、旅行の際にはそういったものを探してみると掘り出しものに巡り合えるかもしれませんね。

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