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17.有機栽培小麦のこと

「有機栽培小麦」とはどのようなものなのでしょうか?

まず有機栽培というものが生まれた経緯をご説明します。

日本では、1960年代最初(昭和の終わりごろ)に農業基本法が制定されました。
すでに技術の進んでいた欧米を見本に、化学肥料や化学合成された農薬の使用、農作機械を使っての作業が政府主導で強く進められました。

これらの施策は、単位面積あたりの農作物生産が上がり、費用対効果も向上するものだったため、小さな田畑しか持たない多くの農家にとっても有難いことだったので、官民一体となって積極的に導入されました。

しかし、今となっては常識ではありますが、長年化学肥料ばかりを使い続けると、土や植物、土中の生物に悪影響を及ぼします。

農作物の成長には、土の中に生きている菌やバクテリアのはたらきが欠かせませんが、無機物である化学肥料ばかりを土に投下してしまうと、彼らの餌になる有機物が不足し、菌やバクテリアは死んで減少してしまいます。
そうすると、植物性の病気が蔓延し、その病気を治すために農薬をまた増やし・・・という負のスパイラルに入ってしまいます。

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このような事象が大きく取り上げられ、その反省のもと生まれたのが「有機栽培」です。
化学物質の使い過ぎを抑制し、本来あるべき天然の有機物に準じた肥料を用い、土の中に生きる微生物達の事も考え、可能な限り自然の生態系に近いサイクルで農業を行おうというものです。
この考えに基づいて栽培されたのが「有機栽培小麦」です。

ただ、「有機栽培」への疑問も提唱されています。

たとえば、よく熟成されていない有機肥料は、寄生虫や病原微生物の汚染を招いたり、有毒ガスが発生したりと逆に害となることもあります。
安心安全な有機栽培を行っているかどうか、その判断は各地の農家に委ねられることになります。

一声に「有機栽培小麦」といっても色々ありますので、どんな方法で栽培されているのか、よく考えてから購入したいんものですね。

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