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10.醤油の本醸造とは

よく醤油のパッケージラベルで目にする「本醸造」という文字。
これはいったい何を意味するのでしょう?
逆に、「本醸造」ではない醤油ってあるのでしょうか。

実は、JAS(日本農林規格)で醤油の製造方式というのは明確に定義されており、「本醸造方式」「混合醸造方式」「混合方式」の3つがあります。

農林水産省のWEBサイトにある「本醸造方式」の条件を要約すると、大豆、麦、米等の穀類を蒸したり煮たりして前処理し、麹(こうじ)菌を使用して培養したものに、食塩水や生揚げを加えて発酵させて得られた液体調味料、ということです。

また、豆知識ですが、特級・上級・標準という窒素や無塩可溶性固形分で決まる規格もあり、この「特級」の条件に、本醸造であること、という定義があります。

したがって、特級の醤油であれば常に本醸造ということにもなります。
醤油の生産量の約80%は本醸造方式ですので、日常で目にするほとんどの醤油は本醸造方式で作られたものといえます。

それでは何のために「混合醸造方式」「混合方式」は定義されているのでしょう?
それは、この2つの方式で醸造することにより、仕上がりの具合を安定化させたり、製造にかかる時間を短縮することができるためです。

「混合醸造方式」は、もろみにアミノ酸液を加え、熟成させる方式です。
大豆のタンパク質は、本醸造方式だともろみに麹を加えて微生物の力で分解していきますが、混合醸造方式ではく化学処理によって分解することになります。

麹菌は微生物ですので、環境や温度変化により出来上がりに微妙な違いが出てきてしまますが、化学処理だとそのリスクは少なくなり、生産が安定する分、店頭に並ぶ価格も下げることができます。

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ただし、醤油にとって大事な色・香り・味も平準化されてしまいますので、味にこだわりをお持ちの方には向かないかもしれません。

「混合方式」は生揚げ醤油に、アミノ酸液・酵素分解調味液・発酵分解調味液のいずれかを混合させたものです。
本醸造方式のように醸造にかかる時間が大幅に短縮されるため、工場のラインの回転数を上げることができ、これも販売価格を安くすることができます。

自然の力ではなく化学調味料で醸造されているなんて・・・と抵抗を感じてしまうかもしれませんが、JASで定められた安全性の高い成分以外使われていないことは確かですし、何よりほぼ毎日使う消耗品ですから、安いに越したことはありません。
一度ためしてみるのもいいかもしれませんね。

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