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7.醤油の溜まりとは

お刺身を食べる時などには使いたい、「溜まり」醤油。
「こいくち」醤油の原料が大豆と小麦がほぼ同量ずつなのに対し、「たまり」はほぼ大豆のみで作られているので、大豆のタンパク質から出てくる旨味が強く、味も香りも濃厚なものになります。

お寿司屋さんなどで目にすることも多く、ちょっとだけ使う高級なものというイメージもありますね。

今の醤油の生産量の約80%は「こいくち」醤油で、「溜まり」は約2%にしかすぎませんが、もともとは「溜まり」のほうが元祖だったというのをご存じですか?

醤油そのものの発祥や起源には諸説あり、中国からその製法が伝来したという説、紀州で偶然に出来上がったとされる説など、未だ有力な説は定まらないのが現状です。

が、鎌倉時代あたりに生産の始まったこの元祖の醤油こそが、今でいう「溜まり」醤油なのです。

当時の製造方法は、まず大豆から味噌を作り、そこから滲み出して容器の底や表面の窪みに(文字通り)溜まった部分を掬い取るという手法でした。
そのため、需要に対して生産が全く追いつかず、主に身分の高い人のみ口にできる大変貴重で高級な調味料でした。

それを大量生産できるように江戸時代中期に改良されたのが、「こいくち」醤油です。

「溜まり」より風味に優れ、大量に安定して製造できるとあって、「こいくち」は人口の増大しつつあった江戸を中心に一気に広まりました。

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現在の千葉県が、材料となる塩・小麦の生産地に近く、それを流通させるための水運などの立地に恵まれており、醤油生産地として有名になったのもこのころからです。

古史の上で初めて「溜まり」が登場するのは、江戸時代。
17世紀の初め、1603年(慶長8年)に記された『日葡辞書』(にっぽじしょ:日本語をポルトガル語で解説した辞書)に、「tamari:味噌から作られる、非常に美味な液体。食物の調理に使用される」と解説してあります。

現在の「溜まり」醤油は、古来の製造方法である味噌から絞り出して作るという手間暇かけたものもありますが、通常の醤油の製造過程から小麦を抜いて作っただけ、というものまで様々です。
主に愛知県を中心とした東海地方で製造がさかんですが、自分で購入する際には、製造方法なども見てよく選んで購入したいですね。

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