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19.醤油の脱脂加工大豆

醤油のラベルなどを見ると、大豆(脱脂加工大豆を含む)とよく書かれてありますね。
この脱脂加工大豆とはなんでしょうか?

字から察するに、大豆から脂肪を搾り取った残りかす?というような、漠然としたマイナスイメージのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

JAS(日本農林規格)の規定にも原料として「大豆(脱脂加工大豆を含む)」と記載してあるとおり、脱脂加工大豆は醤油の醸造ではごく一般的に使われており、醸造用加工大豆という別称もあるほどです。

砕いた大豆にヘキサンという食品添加物の一種を加えて大豆油を抽出し、その残った分が「脱脂加工大豆」となります。
油脂分がカットされているので、脱脂なのですね。

脱脂加工大豆の登場により、脱脂されていない大豆を「丸大豆」と呼ぶようになりました。
なので、丸大豆という品種があるわけではなく、どちらも同じ大豆となります。

ちなみに、醤油を醸造するときの原料に脱脂加工大豆ではない普通の丸大豆を使用した場合は、油脂分が仕込みの過程で分離し、表面に浮かんで油脂層を形成します。

この油脂層にはそれぞれ賛成派と反対派がいるのですが、賛成派の意見としては「表面を覆うため、もろみの酸化が防げる」「油脂から分解されたグリセリンが良い風味を醸し出す」とうことですが、化学的に味を分析したところでは特に優位な差はないという結果だったそうです。

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つまり、どちらでも味や香りに変わりはないということです。

反対派の意見としては、「むしろ旨味を左右する窒素量が、脱脂加工大豆を利用したときのほうが多い(つまり旨味が多い)ときもあり、脱脂加工大豆のほうが美味しいのではないか」「醸造中に出た油脂は廃棄となるが、ドロドロで扱いづらく、廃棄のコストもかかる」ということのようです。

個人的にはどちらも美味しく頂けますし、それなら油としてちゃんと抽出・加工して利用してもらったほうが大豆農家さんとしても嬉しいように思いますので、脱脂加工大豆を利用している醤油のほうがよいのではないかと思っています。

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