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24.アルコールとの関係

実は、意外に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、醤油にもアルコール分が少し含まれています。

各メーカーの成分表示によっては、「エタノール」または「酒精」という表現をしている場合もありますが、ほとんど同じものです。
ただし、酒・リキュール類のように酔っぱらうほどの量ではありません。

なぜアルコールが含まれるのでしょうか?

一つには、そもそも小麦や大豆から生まれる成分が、分解の過程を経ていくらかのアルコールに変化するためです。

小麦はでんぷんから出来ていますが、このでんぷんが醤油麹(こうじ)によってブドウ糖に分解され、酵母によってさらにアルコールに分解されます。大豆はそのタンパク質が、分解されてアミノ酸にかわり、そしてアルコールに変化します。

その昔から「優れた品質の醤油はかびにくい」と言われて重宝されてきましたが、その理由はこのアルコールがしっかりカビから守ってくれていたからなのですね。

もう一つの要因として、上記にプラスしてアルコールが加えられる場合があります。
では、何のためにアルコールが加えられているのでしょうか?

これは、醤油の品質を維持するためです。
もう少し具体的に言うと、カビの繁殖を防ぐためとなります。

醤油はその醸造過程の最後にある『火入れ』で殺菌および色・香り・味が調整されていますが、同時にもともと作られていたアルコール分はこの段階でかなりの分量が揮発してしまいます。

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このままでは、開封後に空気中のカビが容器内に入り込んだときに、条件次第ではそのまま繁殖してしまうことがあります。

最低限のアルコールを加えておくと、このカビの活動が抑制され、繁殖を防ぐことができるので、最後に一定量のアルコールを加えるのです。
特に低塩分に調整されている、減塩醤油などは殺菌力が弱いので、必ずといっていいほどアルコールが加えられています。

ちなみに余談ですが、味噌にもアルコールが添加されていることがあります。
これはちょっと目的が違っていて、酵母の活動を抑制するためとなります。
容器に詰められる段階でまだ酵母が生きていますので、容器の膨張、ひいては破裂を防ぐため、エタノールが加えられています。

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