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16.醤油の味わいのこと

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醤油の味というのはどのように決まるのでしょうか。
あの独特の奥深い味わいが確立されて200年余り。
今となっては日本が海外にも誇れる万能調味料ですが、実は他のどの調味料にもない複雑な構成となっています。

舌で感じ取れる味覚というのは大きく分けて5種類。
甘味、苦味、酸味、塩味、そして旨味です。醤油はこの5つの要素をすべて合わせ持っており、この絶妙なバランスがあの醤油の味わいを作り出しています。

「こいくち」醤油の塩分濃度は約16%あり、これは海水の塩分濃度の約5倍にあたります。
でも、それほど塩辛く感じないのは、この甘味や酸味、旨味がまろやかな舌触りに全体を整え引き締めているからです。

それぞれの味わいの元を詳しく見ていきましょう。

甘味は、原料の小麦の澱粉(でんぷん)が醸造の過程で麹菌に分解されて、ブドウ糖に変化することにより生まれます。
「溜まり」など甘味の強い醤油は、このブドウ糖の割合が多いため甘く感じます。

苦味は、全体の味を引き締めコクを与えるため、苦味アミノ酸やペプチド類などが加えられています。
舌に感じるほどの量は含まれていないため、メーカーの工夫から生まれた隠し味と言えるでしょう。

酸味は、ブドウ糖が変化した「乳酸」がその役目を担っています。
意外に思われるかもしれませんが、この乳酸が塩辛さを和らげて深みを与え、また色・味・香りを安定させるのです。

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塩味は、原料の食塩水からきています。
殺菌・調整のため、ある一定の量はどうしても投下せざるを得ないのですが、他の項目で述べるような塩辛さを和らげる成分を加えたり、種類によっては減塩の過程を踏んだりすることで日本人の口に合うよう調整されています。

旨味は、大豆と小麦のタンパク質から麹菌によって分解された約20種類のアミノ酸やペプチドが作り出します。
その中でも特に主役となるのがグルタミン酸です。
他にもアスパラギン酸、アルギニン、ヒスチジン、リジン、グリシン、アラニンなどがあります。

なんだか一度聞いただけでは覚えられないような名前が多いですが、数百年の歴史の中で醸造家の知恵と汗から生まれたこの美味しさは、どこの国へ行っても伝えていきたいですね。

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